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プロフィール

三保真吾

Author:三保真吾
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熊本県出身。
マリスト学園卒業。
武蔵野美術大学卒業。
長男、B型。
現在一児の父。

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ふたり

2008.05.31 higomokkosu GARDEN
きみが死なずに あることがうれしい

そのかみの毛はけさも ひどくうつくしい

いつわるのはいつもしろい脳 で


となりのへやにいても あなたの鼓動がきこえる

そのとじたまぶたはこんやも 光るゆめをうつしている

いわゆるかなたの ささいな思い出


てつむぎの糸がするりとほどけてふたつになる

除湿器がぐわんぐわんとせんたくものをかわかす


ソファーによりかかったまま

缶ビールとねむる


ぼくたちの色ちがいのめざめは

ただまちがいなくやってきて

けれどその興奮を やっぱりくちにできそうもない


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ぼくには庭がある

2008.05.31 higomokkosu GARDEN
ぼくには庭がある

その庭に
たねをまいたり
なえをうえたりする

その庭には
ダンゴムシやトカゲやミミズがいる

アゲハチョウやヒヨドリやミツバチ
タンポポのわたげやみしらぬくさばなが
やってくる


ぼくには庭がある

その庭は
ぼくの庭でありつづけながら
それをゆるさない

そのゆるやかなたいどのなかで
ぼくはその庭のくさをむしる


ぼくには庭がある

その庭には
むすうのほしくずがある

そのだんぺんとして
ぼくのゆびさきとひざし
ドクダミとうごけないまなざしがある


ぼくには庭がある

そのうちがわとそとがわ
そのあとさきに


ぼくには庭がある

その庭には
こきゅうとこうごうせいが
ぶんかいとさいせいが
ううううごめいている


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あさひ

2008.05.29 higomokkosu GARDEN
このだいちに

はじめてあさひがのぼった そのしゅんかんを

きみのからだはおぼえている


そのこうけいは

まばゆいひかりのつぶとなって

みゃくみゃくとうけつがれ

きみのからだに たどりついた


そのきおくをいのちとよぶということを

きみもそのうちきがつくだろう

そしてやがて

きみもひかりを うむのだ


ただそれだけのそんざいであるということを

こわがらなくてもいい

ただそれだけのそんざいであるということ を

もっとおそれたほうがいい


このだいちに

あしたもあさひがのぼる そのしゅんかんが

きみのからだに


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世界

2008.05.28 higomokkosu GARDEN
何か決定的な真実というものを
僕は知らないし、もとめてもいない
ましてそんなものが実在するのか
疑わしく思っている

ただ ふとした瞬間に未知の
摩訶不思議な世界がそこにあっても
いいんじゃないかと そう思う

まるで幼稚な世界
おもいつき
寝言
衝動
ときめき
どうしようもない何か
うわごと
こぼれ落ちてしまうもの
空想

そんなものでさえ形式が必要なら
もう生きてゆけない

ぼくの指先の動きに
くちだしをしないでほしい

ぼくが呼吸する意味を
聞かないでほしい

筋道なんてものが無用の世界を
ぼくがそっと抱くことを
許してほしい

受け入れてほしいと願ってはいない世界を
ぼくが抱いているということを
不思議がらないでほしい


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ました

2008.05.24 higomokkosu GARDEN
あしあとのないあした

ひましにますかくどのました



だくだくのだらくを
ややすすりました



それがそがれたたそがれのじこく

こどくのどくのうむ


んなことしらんし

つぎのしゅんかんあさだし


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車窓

2008.05.20 higomokkosu GARDEN
窓ガラスに反射する、世界
網膜に届かない光
心臓のバイパス
名もなき経済論理
加速する、24時間
金属の脆さ
観念としての格差
美しい花弁

果てしない未来

無意味な意味
受け皿としての肉体
コバルトブルーの範疇
ささくれて
光る看板と実像
川面に映る、何か

到着駅は遠い、ぜ

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STAR

2008.05.20 higomokkosu GARDEN
SKETCHBOOK


TIMER

ACCORDION


RAINFOREST


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ヒミツ・1

2008.05.19 higomokkosu GARDEN
めがねと眼球のあいだでいつも空気が透明の小爆発

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むしる

2008.05.17 higomokkosu GARDEN
草をむしる

庭の、草をむしる

ドクダミやシダ、名前も知らない草花を、むしる

無心でむしる

毎朝グラウンドの草をむしっていた
校長の背中を思い出す

やわらかい土のにおい
手がよごれて

娘もむしる
すぐにあきる

ダンゴムシやゾウリムシ、ハサミムシやトカゲ
彼らの寝床もあっただろう

けれどそんなこと無視して、むしる むしる
ガリガリの大怪獣の襲来だ

背中が焼けて汗がたれる
立ちくらむ、視界に時折の風

むしるむしるむしる
むしる、むしる むしる

邪念よ、じゃあね
なんていかないけれど

むし る


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CELL

2008.05.16 higomokkosu GARDEN


CURVE


EAR



LIGHT GREEN





LOST



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こころにねむる

2008.05.15 higomokkosu GARDEN
こころにねむる美徳を知らぬふりして捨てるのは
悪魔にたましいを売る安い行いと、なんら違わない

それなのに

強さとか、美しさを人生に求めてしまうのは
あまりにも愚かすぎる

君よ
その肉体に醜態 を求めよ

恥じらいと穢れを
ねむるこころに せめてかぶせよ

それでも最後に残っちまう穏やかさを
君よ

それこそが美徳なのだと
せめて呼んで くれないか


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2008.05.14 higomokkosu GARDEN
僕たちの庭には数種のハーブと思想
それにこの春、藍と茜と紫根ときらめき がやってきた

片隅に蒔いたクローバーと小さな決意はご愛嬌


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雨粒

2008.05.13 higomokkosu GARDEN
窓の向こうで雨が降りはじめた、深夜
なんだかすごくさみしい気分 だ

僕はあいかわらず
他人の人生になど全く興味もなく
自分を生み育てた両親や故郷のことさえ
からだの一部にできないでいる

雨粒はしょっぱいと信じていたぼくに
それは手のひらの汗の味だ、と父が言った
その 情景をおぼえている

怒るとズボンを脱がし、鬼の形相でぼくの尻を叩く
そんな母のつっかけが、ある日
ぼくの足にはすっかり小さくなっていた
あの光景をやっぱりおぼえている

いつもツクツクボウシの 声

そんなどうでもいいことが忘れられず
そのせいで僕は、お金のもうけ方もろくにおぼえられない

なんだかとても さみしい気分だ

窓の外の雨粒は
たぶんしょっぱい と思う


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みず

2008.05.12 higomokkosu GARDEN
時計の針とか
遠くで聞こえる救急車の音とか
太陽がのぼりきった朝とか
まぶたを震わす雑念の数々とか

ここではないどこか、を
超えていくきらめき

驚異的に美しいスピード

鋭く尖った氷が手のひらに突き刺さる、その瞬間
溶けて水になる

頭皮を伝うスコール
最高の右ストレート
100m自己新記録だ
音を発しながら倒れ込む

何もかもが今のままだから、たのむ
耳の穴に清潔な水を注いでよ

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白い場所

2008.05.11 higomokkosu GARDEN
こころのなかに、なにもない
完全な場所がほしい

こころのなかに、ほんのわずか
ただ完璧なスペース

ふりかえれば郷里が
向こうには子供たちが
ここには寝室と庭が、ある

かたちに置きかえればそれらに似た
鼓動と熱情の源泉
白い空間

だがその投影物だけはもういらない
スクリーンを照らす電気の光は
もう十分だ

白いその場所を
強く静かに感じていたい

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窓辺

2008.05.10 higomokkosu GARDEN
地面に立ってぼけーっとするだけで。

目の前を通り過ぎていく人が途絶えないということに驚く。
東京の人口がまた10%を超えたらしい。
その事実を全然イメージできない。
もしくは気味が悪くて仕方ないのか。

目の前を通り過ぎていく人はすべて全く知らない人で
その人たちの白髪やピアスの穴にもおそらく意味が
あるのだろうということに驚く。
「すみませんお父さん、上々ですか?」
などと、やはり聞いてみたいとは思わない。

交わらないものたちが目の前をやたら交錯していく。
俯瞰しているはずの自分の体のアウトラインが
なぜかぼやけていくのを感じる。
この倦怠感をどういう言葉で説明すればいいのか。
むぁあ。

他の何者でもないあり方というのは
においがしないというにおい、とか
味がしない水の味、とかに似ている

日々の寝床はなるべく土に近い方がいい。
ふと見通すなら風の吹き抜ける2階の窓辺がいい。
そう思っているのだけれども。

もの悲しさや、うら寂しさが
今夜もカプセルホテルで人知れず寝息を立てている。

ぼくらのからだの細胞ひとつひとつはやはりカプセルで
街は明日も息づくのだ。


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風呂を洗う

2008.05.06 higomokkosu GARDEN
スポンジを持つ手でゴシゴシと
ゴシゴシと風呂を洗いながら思う。

計らいや美しさや切なさやさりげなさなんかがなくとも
そこに悪意さえないのならそのすべてを受けとめよう、と。

けれどもしそこに悪意のまなざしやにおいや気配がしたのなら
やれ戦うことなどせずに、そっと逃げ出してしまおう、と。

このからだに漠然とした強さなどではなく
嗅覚や皮膚感覚や第六感ってやつの感度を。

内外に対して強いるというのではなく
受け、そして逃げるという手立てを、植えよ。

静けさの中からだけ芽を出すものがあるということを
風呂を洗いながら悟れよ、深くオレ、自身。

世界平和の話なんてのはそのずっと、後だ。


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